1. HOME
  2. 【目次】文献資料
  3. 『資本論』の「共通なもの」 (bs001-01)

『資本論』の「共通なもの」 (bs001-01)

ページ内
目次(リンク)

クリックして
飛びます。


資021


『資本論』の「共通なもの」

 このページ内の目次・概要_____



『資本論』の「共通なもの」

    HP2016.『資本論』 共通なもの Gemeinsam
  価値表現の価値方程式の研究・・・
■表現の仕方・形式 Ausdrucksweiseの現われ方=現象の形式"Erscheinungsform"

『資本論』-「共通なもの」-「共通」2021.04.28

『資本論』構造と機能 (1)~(3)
(1) Element-Form-Elementarform
(2) 共通なもの-ドイツ語チェック・・・・
(3) 比例-方程式-価値方程式


 ■経済構造の「価値」を発見
A-「共通なもの」-構造・共通性-
B-「共通な」・・・・・-機能性の獲得
C-比例は、機能性を獲得する
D-方程式は<序列-階層構造>を形成する
E-「価値」の発見


  『資本論』の形式・構造-

①  ヘーゲルに特有の表現法:「論理学」
②  古典派経済学の「労働価値」批判的継承-第1章第1節 
③  交換価値が表現される方程式の形式分析
④  商品の価値形態/形式は、経済の細胞形態/形式-ドイツ語チェック・・・・
   ⑤ 第1章第1節~第4節へー文体/叙述形式
     三角形の面積計算~“共通なもの”抽出


『資本論』の「共通なもの」ーー商品価値の実体解明-表現方法・形式について
      →HP2016.『資本論』 共通なもの Gemeinsam
 『資本論』第1章第1節 
     (商品価値の実体解明-表現方法・形式について)
 『資本論』第1章第1節
1-4 *7 一つの物の有用性Die Nützlichkeit eines Dingsは、この物を使用価値にする(原注4)。しかしながら、この有用性は 空中に浮かんでいるものではない。それは、*6 商品体の属性Eigenschaften des Warenkörpers によって限定されていて、商品体なくしては存在するものではない。だから、商品体自身が、鉄・小麦・ダイヤモンド等々というように、一つの使用価値または財貨である。このような商品体の性格 Charakterは、その有効属性を取得することが、人間にとって多くの労働を要するものか、少ない労働を要するものか、ということによってきまるものではない。使用価値を考察するに際しては、つねに、1ダースの時計、1エレの亜麻布、1トンの鉄等々というよ うに、それらの確定した量が前提とされる。商品の使用価値は特別の学科である商品学(原注5)の材料となる。使用価値は使用または消費されることによってのみ実現される。使用価値は、富の社会的形態の如何にかかわらず、富の素材的内容 stofflichen Inhalt des Reichtumsをなしている。われわれがこれ から考察しようとしている社会形態においては、*11 使用価値は同時に-交換価値の素材的な担 い手stofflichen Träger des - Tauschwertsをなしている。

1-5 交換価値は、まず第一に量的な関係〔quantitative Verhältnis:量的比例〕として、すなわち、ある種類の使用価値が他の種類 の使用価値と交換される比率として、すなわち、時とところとにしたがって、絶えず変化する関係として、現われる(原注6)。したがって、*12 交換価値は、何か偶然的なるもの〔Zufälliges:偶然的な価値形態 〕、純粋に 相対的なるものであって、商品に内在的な、固有の交換価値(valeur intrinseque)という ようなものは、一つの背理(原注7)*(contradictio in adjecto)のように思われる。われわれはこのことをもっと詳細に考察しよう。

(編集部注:量的な関係〔quantitative Verhältnis:量的比例。この「関係」と翻訳されている「Verhältnis」は、ヘーゲルの『大論理学』第2篇大きさ(量)には、第3章量的比例 das quantitative Verhältniss となっています。なお、『大論理学』第3章量的比例はこちら〕

 1-6. 一定の商品、1クォーターの小麦は、例えば、x量靴墨、またはy量絹、またはz量金等々 と、簡単にいえば他の商品と、きわめて雑多な割合で交換される。このようにして、小麦は 、唯一の交換価値のかわりに多様な交換価値をもっている。しかしながら、x量靴墨、同じく y量絹、z量金等々は、1クォーター小麦の交換価値であるのであるから、x量靴墨、y量絹、z 量金等々は、相互に置き換えることのできる交換価値、あるいは相互に等しい大いさの交換 価値であるに相違ない。したがって、第一に、同一商品の妥当なる交換価値は、一つの同一 物を言い表している。だが、第二に、交換価値はそもそもただそれと区別さるべき 内在物の 表現方式〔Ausdrucksweise:表現 (Ausdruck : 数式) の (weise : 仕方) 方式〕、すなわち、その「現象形態〔 "Erscheinungsform"〔現象の形式・フォーム〕」でありうるにすぎない。

 〔編集部注:表現方式 Ausdrucksweise と「現象形態 Erscheinungsform」については、*こちらを参照してください。〕


<1> 同一大いさのある共通なものがある
1-7 さらにわれわれは二つの商品、*14 例えば小麦と鉄をとろう*。その交換価値がどうであれ、 この関係〔Austauschverhältnis:交換関係〕はつねに一つの*14 方程式Gleichung に表わすことができる。そこでは与えられた小麦量は、なん らかの量の鉄に等置される。*14 例えば、1クォーター小麦=aツェントネル鉄というふうに。
 こ の方程式は何を物語るか?
二つのことなった物に、すなわち、1クォーター小麦にも、同様にaツェントネル鉄にも、同一大いさのある共通なものがあるということである。したがって、両つのものは一つの第三のものに等しい。この第三のものは、また、それ自身 としては、前の二つのもののいずれでもない。*15 両者のおのおのは、交換価値である限り、こ うして、この第三のものに整約しうるのでなければならない。〔拡大されることを予知している〕

<2> 商品の交換価値も、共通なあるものに整約-の共通なあるものの大小が示される
1-8 〔三角形の面積計算〕
 一つの簡単な幾何学上の例がこのことを明らかにする。一切の直線形の面積を決定し、それを比較するためには、人はこれらを三角形に解いていく 。三角形自身は、その目に見える形と全くちがった表現-その底辺と高さとの積の2分の1― に整約される。これと同様に、商品の交換価値も、共通なあるものに整約されなければなら ない。それによって、含まれるこの共通なあるものの大小が示される。

<3> 商品の交換関係の内部-共通なものは-商品の使用価値からの抽象である
    -ちょうど同じだけのものとなる
1-9 この共通なものは、商品の幾何学的・物理的・化学的またはその他の自然的属性であることはできない。商品の形体的属性 körperlichen Eigenschaften は、ほんらいそれ自身を有用にするかぎりにおいて、し たがって使用価値にするかぎりにおいてのみ、問題になるのである。しかし、他方において 、商品の交換関係をはっきりと特徴づけているものは、まさに商品の使用価値からの抽象である。この交換関係の内部においては、一つの使用価値は、他の使用価値と、それが適当の割合にありさえすれば、ちょうど同じだけのものとなる。あるいはかの老バーボンが言って いるように、「一つの商品種は、その交換価値が同一の大いさであるならば、他の商品と同じだけのものである。このばあい同一の大いさの交換価値を有する物の間には、少しの相違 または差別がない(原注8)。」

<4> ① 交換関係の内部においては、一つの使用価値は、他の使用価値と、それが適当の割合にありさえすれば、ちょうど同じだけのものとなる
   ② これらの物は、おたがいに共通な、この社会的実体の結晶として、価値―商品価値

1-12 われわれはいま労働生産物の残りをしらべて見よう。もはや、妖怪のような同一の対象性いがいに、すなわち、無差別な人間労働に、いいかえればその支出形態を考慮することのない、人間労働力支出の、単なる膠状物というもの意外に、労働生産物から何物も残っていない。これらの物は、ただ、なおその生産に人間労働力が支出されており、人間労働が累積されているということを表わしているだけである。*19これらの物は、おたがいに共通な、この社会的実体の結晶として、価値―商品価値である。

<5> 第1章第1節
① 商品の交換関係の交換価値は、その使用価値から全く独立している〔無関係に、分離したものとして〕あるものとして、現われた。
   ② 商品の交換比率または交換価値に表われている共通なものは、かくて、その価値である。
   ③ われわれは価値の必然的な表現方式または現象形態としての交換価値に、帰ってくる

1-13 商品の交換関係そのものにおいては、その交換価値は、その使用価値から全く独立している〔無関係に、分離したものとして〕あるものとして、現われた。もしいま実際に労働生産物の使用価値から抽象する〔Abstrahiert man nun wirklich vom Gebrauchswert der Arbeitsprodukte, 度外視する〕とすれば、いま規定されたばかりの労働生産物の価値が得られる。 商品の交換比率または交換価値に表われている共通なものは、かくて、その価値である。研究の進行とともに、われわれは価値の必然的な表現方式または現象形態としての交換価値に、帰ってくるであろう。だが、この価値はまず第一に、この形態から切りはなして考察せらるべきものである。

<6> ① 諸商品は、ある共通の価値形態をもっている-貨幣形態
    ② 商品の価値関係に含まれている価値表現が、単純なもっとも目立たぬ態容から、貨幣形態 
に発展していったかを追求
第3節 価値形態または交換価値
3-3 人は、何はともあれ、これだけは知っている、すなわち、諸商品は、その使用価値の雑多な自然形態と極度に顕著な対照をなしているある共通の価値形態をもっているということである。―すなわち、貨幣形態である。だが、ここでは、いまだかつてブルジョア経済学によって試みられたことのない一事をなしとげようというのである。すなわち、この貨幣形態の発生を証明するということ、したがって、商品の価値関係に含まれている価値表現が、どうしてもっとも単純なもっとも目立たぬ態容から、そのきらきらした貨幣形態に発展していったかを追求するということである。これをもって、同時に貨幣の謎は消え失せる。

<7> ① 上衣を縫う裁縫は、機織に等しいと置かれるということは、両労働に共通な人間労働という性格に、整約する。
   ② 抽象的に人間的な労働:おのおのちがった商品の等価表現 Äquivalenzausdruck のみが、それらに共通するものに、人間労働一般に整約して、価値形成労働の特殊性格を現出させる
 
 2 相対的価値形態
  a 相対的価値形態の内実
5. 例えば、上衣が価値物として亜麻布に等しいとされることによって、上衣にひそんでいる労働は、亜麻布にひそんでいる労働に等しいとされる。さて上衣を縫う裁縫は、亜麻布を織る機織とは種類のちがった具体的な労働であるが、しかしながら、機織に等しいと置かれるということは、裁縫を、実際に両労働にあって現実に同一なるものに、すなわち、両労働に共通な人間労働という性格に、整約するのである。この迂給を通って初めてこういわれるのである。機織も、価値を織りこむかぎり、裁縫にたいしてなんらの識別徴表をもっていない、すなわち、抽象的に人間的な労働であるというのである。ただおのおのちがった商品の等価表現 Äquivalenzausdruck のみが、種類のちがった商品にひそんでいる異種労働を、実際にそれらに共通するものに、すなわち、人間労働一般に整約して、価値形成労働の特殊性格を現出させる。

(注17a) 第2版への注。ウィリアム・ペティの後に、価値の性質を見破った最初の経済学者の一人である有名なフランクリンはこう述べている。「商業はそうじてある労働の他の労働にたいする交換にほかならないのであるから、すべての物の価値は、労働で評価されるのが、もっとも正しい」(『B・フランクリン著作集』スパークス版、ボストン、1836年、第2巻、267ページ)。フランクリンは、すべての物の価値を「労働で」評価して、交換された労働の異種性から抽象しているということを、―そしてこのようにして、これを同一人間労働に整約しているのだということを、意識していない。それでも、自分で知らないことを、彼は言っているのである。彼は、はじめ「ある労働」について、次いで「他の労働について」、最後に、すべての物の価値の実体であるほかなんらの名をもっていない「労働」について語っている。

<8> ① 価値対象性:凝結した状態でin geronnenem Zustand,、すなわち、対象的な形態でin gegenständlicher Form価値となる。
   ② 人間労働の凝結物としての亜麻布価値を表現-他の商品と共通に亜麻布にも存する「対象性"Gegenständlichkeit"」として表現

6. だが、亜麻布の価値をなしている労働の特殊な性質を表現するだけでは、充分でない。流動状態にある人間労働力、すなわち人間労働は、価値を形成するのではあるが、価値ではない。それは凝結した状態でin geronnenem Zustand,、すなわち、対象的な形態でin gegenständlicher Form価値となる。人間労働の凝結物としての亜麻布価値を表現するためには、それは、亜麻布自身とは物的に相違しているが、同時に他の商品と共通に亜麻布にも存する「対象性"Gegenständlichkeit"」として表現されなければならぬ。課題はすでに解決されている。

<9>
 3 等価形態
7. だが、ここで比喩は終わるのである。鉄は砂糖塊の重量表現で、両物体に共通なる自然属性、すなわち、それらの重さを代表したのであるが、――他方の上衣は亜麻布の価値表現において両物の超自然的属性を、すなわち、それらのものの価値を、およそ純粋に社会的なものを、代表しているのである。

<10>
16. アリストテレスは、このようにして、どこで彼のそれ以上の分析が失敗しているかということについてすら、すなわち、価値概念の欠如(けつじょ)についてすら、述べているわけである。等一なるものは何か?すなわち、しとね〔寝台〕の価値表現において、家がしとね〔寝台〕に対していいあらわしている共通の実体は何か?そんなものは「真実には存しえない」と、アリストテレスは述べている。
  なぜか?家はしとね〔寝台〕にたいしてある等一物をいいあらわしている、家が、しとね〔寝台〕と家という二つの物で現実に同一なるものをいいあらわしているかぎりにおいて。そしてこれが――人間労働なのである。

<11>
C 一般的価値形態
 1 価値形態の変化した性格  Veränderter Charakter der Wertform

2. 第一の形態は、上衣1着 = 亜麻布20エレ、茶10ポンド = 鉄1/2トン 等々というような価値方程式を作り出した。上衣価値は亜麻布に等しいものとして、茶価値は鉄に等しいものとして、というようなふうに表現される。しかしながら、亜麻布に等しいものと鉄に等しいもの、このような上衣および茶の価値表現は、亜麻布と鉄とがちがっているのと同じようにちがっている。この形態が明瞭に実際に現われるのは、ただ、労働生産物が、偶然的な、そして時折の交換によって商品に転化されるような、そもそもの端緒においてである。
 第二の形態は、第一のそれより完全に、商品の価値を、それ自身の使用価値から区別する。なぜかというに、例えば上衣の価値は、ここではその自然形態に、あらゆる可能な形態で、例えば亜麻布に等しいものとして、鉄に等しいもの、茶に等しいもの等として、すなわちただ上衣に等しいものでないだけで他の一切のものに等しいものとして、相対するからである。他方において、ここには商品のあらゆる共通な価値表現は、ただちにできなくされている。なぜかというに、ここでは一商品ごとに価値表現を行なって、すべての他の商品は、ただ等価の形態で現われるにすぎないからである。ある労働生産物、例えば家畜がもはや例外的にでなく、すでに習慣的に各種の他の商品と交換されるようになると、まず拡大された価値形態が、事実上出現するのである。

<12>
3.  新たに得られた形態は、商品世界の諸価値を、同一なる、この世界から分離された商品種で表現する、例えば亜麻布で、そしてすべての商品の価値を、かくて、その亜麻布と等しいということで示すのである。亜麻布に等しいものとして、あらゆる商品の価値は、いまやただそれ自身の使用価値から区別されるだけでなく、一切の使用価値から区別されるのである。そしてまさにこのことによって、この商品とあらゆる商品とに共通なるものとして表現される。したがって、この形態にいたって初めて現実に、商品を価値として相互に相関係させ、またはこれらを相互に交換価値として現われさせるようになる。

<13>
4.  先の二つの形態は、商品の価値を唯一の異種の商品をもってするばあいと、この商品と異なる多くの商品の序列をもってするばあいとの違いはあるが、いずれにしても一商品ごとに表現するのである。両場合ともに、価値形態を与えられるのは、個々の商品のいわば私事である。そして個々の商品は他の商品の協力なしに、このことをなすのである。他の諸商品は、先の一商品にたいして等価形態という単なる受動的の役割を演ずるのである。これに反して一般的価値形態は、商品世界の共通の仕事としてのみ成立するのである。一商品が一般的価値表現を得るのは、ただ、同時に他のすべての商品がその価値を同一等価で表現するからである。そして新たに現われるあらゆる商品種は、これを真似なければならない。このことによって、こういうことがはっきりとしてくる、すなわち、諸商品の価値対象性も、それがこれら諸物の単なる「社会的存在」であるのであるから、その全面的な社会的関係によってのみ表現されうるのであり、したがって、その価値形態は、社会的に妥当する形態でなければならないということである。

<14>
6.  商品世界の一般的な相対的価値形態は、この世界から排除された等価商品である亜麻布に、一般的等価の性質をおしつける。亜麻布自身の自然形態は、この世界の共通な価値態容であり、したがって、亜麻布は他のすべての商品と直接に交換可能である。この物体形態は、一切の人間労働の眼に見える化身として、一般的な社会的な蛹化(ようか)としてのはたらきをなす。機織という亜麻布を生産する私的労働は、同時に一般的に社会的な形態、すなわち、他のすべての労働との等一性の形態にあるのである。一般的価値形態を成立させる無数の方程式は、順次に亜麻布に実現されている労働を、他の商品に含まれているあらゆる労働に等しいと置く。そしてこのことによって、機織を人間労働そのものの一般的な現象形態にするのである。このようにして、商品価値に対象化されている労働は、現実的労働のすべての具体的形態と有用なる属性とから抽象された労働として、たんに否定的に表示されるだけではない。それ自身の肯定的性質が明白に現われるのである。それは、すべての現実的労働を、これに共通なる人間労働の性質に、人間労働力の支出に、約元したものなのである。
 労働生産物を、無差別な人間労働のたんなる凝結物として表示する一般的価値形態は、それ自身の組立てによって、それが商品世界の社会的表現であるということを示すのである。このようにして、一般的価値形態は、この世界の内部で労働の一般的に人間的な性格が、その特殊的に社会的な性格を形成しているのを啓示するのである。

<15>
 3 一般的価値形態から貨幣形態への移行
2.  そこでこの特殊なる商品種は、等価形態がその自然形態と社会的に合生するに至って、貨幣商品
となり。または貨幣として機能する。商品世界内で一般的等価の役割を演ずることが、この商品の特殊的に社会的な機能となり、したがって、その社会的独占となる。この特別の地位を、第2形態で亜麻布の`別の等価たる役を演じ、また第3形態でその相対的価値を共通に亜麻布に表現する諸商品のうちで、一定の商品が、歴史的に占有したのである。すなわち、金である。したがって、われわれが、第3形態において、商品金を商品亜麻布のかわりにおくならば、次のようになる。

<16>
 第4節 商品の物神的性格とその秘密
1. >感覚的にして超感覚的な物 sinnlich übersinnliches Ding に転化する。
 〔 私的労働の二重の社会的性格 〕
7. 労働生産物はその交換の内部においてはじめて、その感覚的にちがった使用対象性から分離された、社会的に等一なる価値対称性を得るのである。労働生産物の有用物と価値物とへのこのような分裂は、交換がすでに充分な広さと重要さを得、それによって有用物が交換のために生産され、したがって事物の価値性格 Wertcharakter が、すでにその生産そのもののうちで考察されるようになるまでは、まだ実際に存在を目だたせるようにはならない。この瞬間から、生産者たちの私的労働は、事実上、二重の社会的性格を得るのである。これらの私的労働は、一方においては特定の有用労働として一定の社会的欲望を充足させ、そしてこのようにして総労働の、すなわち、社会的分業の自然発生的体制の構成分子であることを証明しなければならぬ。これらの私的労働は、他方において、生産者たち自身の多様な欲望を、すべてのそれぞれ特別に有用な私的労働がすべての他の有用な私的労働種と交換されうるかぎりにおいて、したがって、これと等一なるものとなるかぎりにおいてのみ、充足するのである。(全く)ちがった労働が等しくなるということは、それが現実に不等一であることから抽象されるばあいにのみ、それらの労働が、人間労働力の支出として、抽象的に人間的な労働としてもっている共通な性格に約元されることによってのみ、ありうるのである。
私的生産者の脳髄は、彼らの私的労働のこの二重な社会的性格を、ただ実際の交易の上で、生産物交換の中で現われる形態で、反映するのである。すなわち――したがって、彼らの私的労働の社会的に有用なる性格を、労働生産物が有用でなければならず、しかも他人にたいしてそうでなければならぬという形態で――異種の労働の等一性の社会的性格を、これらの物質的にちがった物、すなわち労働生産物の共通な価値性格の形態で、反映するのである。

<17>
  第2章 交換過程
1. 商品は、自分自身で市場に行くことができず、また自分自身で交換されることもできない。したがって、われわれはその番人を、すなわち、商品所有者をさがさなければならない。商品は物であって、したがって人間にたいして無抵抗である。もし商品が従順でないようなばあいには、人間は暴力を用いることができる。言葉を換えていえば、これを持って歩くことができる。これらの物を商品として相互に関係せしめるために、商品の番人は、お互いに人として相対しなければならぬ。彼らの意志がそれらの物の中にひそんでいる。したがって、ある一人は、他人の同意をもってのみ、したがって各人は、ただ両者に共通な意志行為によってのみ、自身の商品を譲渡して他人の商品を取得する。したがって、彼らは交互に私有財産所有者として、認め合わなければならぬ。契約という形態をとるこの法関係は、適法的なものとして進行するかどうかは別として、一つの意志関係である。この関係に経済的関係が反映されている。この法関係または意志関係の内容は、経済的関係そのものによって与えられている。人々はここではただ相互に商品の代表者として、したがってまた商品所有者として存在している。叙述の進行とともに、われわれは、一般に、人々の経済的仮装は経済的諸関係の人格化にすぎず、この経済的諸関係の担い手として、彼らが相対しているということを見るであろう。

<18>
第3章 貨幣または商品流通
  第1節 価値の尺度
 (第3章_第1節-第1段落=3s_1-1)
 私は説明を簡略にするために、この著作では何処でも、金が貨幣商品であると前提する。
 金の第一の機能は、商品世界にたいして、その価値表現の材料を供し、または商品価値を同分母をもつ大いさ、すなわち質的に等一で、量的に比較のできる大いさとして、表示することにある。こうして、金は価値の一般的尺度として機能し、この機能によってはじめて金という特殊的な等価商品が、まず貨幣となる。
 諸商品は貨幣によって通約しうべきものとなるのではない。逆だ。すべての商品は、価値として対象化された人間労働であり、したがって、それ自体として通約しうるものであるから、その価値を同一の特殊な商品で、共通に測り、このことによってこの商品を、その共通の価値尺度、または貨幣に転化しうるのである。価値尺度としての貨幣は、商品の内在的な価値尺度である労働時間の必然的な現象形態である(50)。

 (50) なぜ貨幣が直接に労働時間そのものを代表しないか、したがって、例えば一紙幣がX労働時間を表わすというようにならぬのかという問題は、きわめて簡単に、なぜ商品生産の基礎の上においては、労働生産物が商品として表示されねばならぬか、という問題に帰着するのである。なぜかというに、商品の表示は、この商品が商品と貨幣商品に二重化するということを含んでいるからである。あるいはなぜ私的労働は直接に社会的労働として、すなわち、その反対物として、取り扱われることができないかの問題に帰着する。私は商品生産を基礎とする「労働貨幣」ということが浅薄な空想であるわけを、他の個所で詳しく論じておいた(カール・マルクス『批判』61ページ以下〔邦訳、岩波文庫版103ページ以下。新潮社版106ページ〕
******************************

  Ⅰ『資本論』第1章 商品 Element

論理性 1.

(0) はじまり/始元
   0-1 西洋科学のはじまり
       ・ギリシャ人における科学の発展
   0-2 『ギリシャの哲学者たち』タレスからアリストテレス
     ・ガスリー『ギリシャの哲学者たち』変化の過程と存在の二重性

(1) Element (元素/構成要素) の探究
   1-1 Element 要素/構成要素/元素 『資本論』Elementの抄録
        ・第1節冒頭はじまり-富の 成素/構成要素の形態/形式
   1-2 Elementの発見と展開 Element の探究1 / 初期ギリシャ科学
        ・
   1-3 アリストテレス-古代ギリシャ/Elementの体系化ー「四元素説」
        ・
   1-4 元素Element概念形成史の原子論
        ・

(2) Form (形式/形態/形相)の探究
   
 
【1】形式式・形態の土台/根底ー存在と生成転化
   アリストテレスの存在と原理についてーアリストテレス科学入門ー
   1-1 「存在を存在として研究すること
   1-2 「転化の諸原因とその追求


 
【2】実在の現われー実体と形式について
 
『資本論』のForm=形態/形式問題についての序論は こちら<コラム19>

  【3】形相と質料について
     古代ギリシャ・中世の伝統
   2-1 形相 eidosエイドスと質料 hylē ヒュレー 1
   2-2 形相と質料2

  【4】形式Formと形態Formについて
   2-3 翻訳語Formの混乱・混線 (Form : 形式・形態)の二重性
   2-4 形態と形式
   2-4 ヘーゲル-Formの形式活動
   2-5 ヘーゲル論理学の形式Formと形態Gestalt
   2-6 『資本論』の形態Formの混乱・混線

(3) Elementarform の形成

  
 ー『資本論』のElementarform ー
    構成要素の系列・形式(構成要素の形式様式)
   3-0 元素Element概念形成史の原子論
   3-1 系列-1 デカルトの系列 
   3-2 系列-3 細胞の発見と生態系-生態学
      ・生態系は誰のためー
      ・生態学入門ー生態系の構造と機能
   3-3 系列-2 化学元素の周期律・表
   3-4 『資本論』一般的/普遍的 価値形態の成立


 ■■西洋科学の伝統ー比例と方程式について
   概要説明******

      比例ー方程式ー価値方程式

論理性 2.

(1)比例 Verhältnis 関係/比例

  0-1 コスモスと比例の源流

  1-1 比例‐1 ヘーゲルの比例論と『資本論』の比例関係
      ・『資本論』の比例ー量的関係/比例 抄録
   1-2 比例-2 西洋科学の伝統ーアリストテレス「比例」論
   1-3 比例-3

(2) 方程式 Gleichung
   2-1 方程式-1 等式と方程式
   2-2 方程式-2 比例/方程式
    (1) 比例関係と方程式論の歴史的形成過程 <3>
    (2) 比例-価値方程式の形成-2021集計

(3) 価値方程式 Wertgleichung

  ■『資本論』比例と価値方程式の集計
  

   3-1 価値表現と方程式 Gleichung 
   3-2 価値方程式 Wertgleichungの展開


論理性 3.

(1) Elementから価値方程式まで
  ー「ブルジョア社会にとっては、労働生産物の商品形態または商品の価値形態 〔A商品x量 = B商品y量〕 は、経済の細胞形態である。」
(第2版の後書・岩波文庫p.12)〕
 ・・・・

  Ⅱ 第3章 貨幣または商品流通 生態系ー生態学

商品の変態W-G-Wと資本の生態系G-W-G´


   *『資本論』の「生態系」について

(1) 形態学-生態系-生態学
  ・/yg_2018-01.html
  ・/yg_sk_keitaigaku-01.html
   1-1 形態学
   1-2 ゲーテ形態学と変態
   1-3 生態系_形態学について
   1-4 生態系

(2) ゲーテ形態学と変態
(3) 『資本論』の生態系-形態学について
(4) 商品の変態-形態学W―G―W
(5) 資本の生態系 G-W-G´


   Ⅲ『資本論』第4章 貨幣の資本への転化 資本の生態系

資本の生態系G―W―G´

(1) 資本の現象形態 G―G´
(2) 労働力商品-商品価値の増殖


Ⅳ 実体形成と現われ

(1) 質料と形相/形式
  1.西洋哲学史と「形相と質料」の研究 -1-
  2.「形相と質料」の研究 -2-

(1) 労働と価値形成
   1-1 社会的人間労働
   1-2 抽象的に人間的な労働
   1-3 社会的生産有機体
   1-4 価値実体 Wertsubstanz
   1-5 価値表現 Wertausdruck

(2) 価値の形式-価値形態と価値の表現
   2-1 価値形態 Wertform
   2-2 価値形式 Wertform
   2-3 『資本論』のWertform 抄録


Ⅴ 現象/本質-ヘーゲル論理学と『資本論』

(1) ヘーゲル論理学ー現象と仮象

(2) 『資本論』の物神性-商品・貨幣・資本


Ⅵ 経済の生態系研究ー歴史的に / 論理的に

(1) 商品生産の考古学と貨幣商品の源流
    ーメソポタミア文明ー
(2) 江戸時代の経済構造
   銀経済圏と金経済圏・・
(3) 21世紀-日本と中国の経済構造と機能
   グローバル時代の生態系ー日米中経済史ー

用語事典1

(1)・膠状物/凝結物Gallert
(2)・素材/成分 Material ・材料/質料Stoff ・形相/形式 Form
(3)・価値実体 Wertsubstanz ・物 Ding ・事柄 Sache ・萌芽/胚 Keim
    ・現象/仮象 ・事柄/事物 ・直接性/媒介性 
    ・現象/本質 ・同一性/相等性 
    ・抽象/度外視 ・整約/約元
    ・実体 ・等価/当量 ・単純/個別 ・変態/生態
    ・化身/受肉・啓示 ・物神的性格/物神性


人名事典 1

(1) 古代
  ・アリストテレス ・キリスト ・ユークリッド
(2) 中世‐近代
  ・デカルト ・ヘーゲル ・ダーウィン
(3) 近代‐現代  
  ・ロバチェフスキー ・メンデレーエフ 


・・・・・・・

・・・・
■■実体概念の多様性と労働価値
   概要説明****

 1. 西洋哲学史の実体概念
 2. 労働価値説
   2-1 古典派経済学の労働価値説
   2-2 『資本論』の労働価値説
 3. 価値表現と価値形態/価値形式

・・・・

・・・・


(2)労働  ・価値実体 Wertsubstanz ・価値表現Wertausdruck
(3)比例 Verhältnis ・方程式 Gleichung ・価値方程式 Wertgleichung
 論理性
(1) (1)Element 元素/構成要素 ・Form 形式/形態 ・Elementarform
 実体形成と現われ
(2)
(3)
 現象/本質

(4)・膠状物/凝結物Gallert
(5)・素材/成分 Material ・材料/質料Stoff ・形相/形式 Form
(6)・価値実体 Wertsubstanz ・物 Ding ・事柄 Sache ・萌芽/胚 Keim
    ・現象/仮象 ・事柄/事物 ・直接性/媒介性 
    ・現象/本質 ・同一性/相等性 
    ・抽象/度外視 ・整約/約元
    ・実体 ・等価/当量 ・単純/個別 ・変態/生態
    ・化身/受肉・啓示 ・物神的性格/物神性_
 科学史/人名
    ・アリストテレス ・キリスト ・ユークリッド
    ・デカルト  ・ヘーゲル ・ダーウィン
    ・ロバチェフスキー ・メンデレーエフ 



 
クリックで用語の資料、または説明、をご覧いただけます。
  ・・・・「歴史的に、論理的に」用語形成を探索・・・・

【1】 資本論用語事典2021

 資本論ワールド 編集部
 2021年 新年にあたり、資本論ワールド探検隊から「資本論用語事典2021」をお送りいたします。
「事典2021」は、第3部構成を予定しています。
 第1部 『資本論』の科学言語/基本キーワードとしての用語解説
 第2部 基本キーワードが登場する『資本論』の文脈の用例紹介と分析
 第3部 ヨーロッパ圏における 「歴史的に、論理的に」 科学言語/基本キーワードの機能
 事例参考資料は以下のとおり、HP2016 「資本論ワールド」 と HP2019 「資本論の世界」既出のテキストをもとに、最新データを取り入れて再編成しています。21世紀の『資本論』構築へ探検隊一同よろしくお願いいたします。
      ・・・HP2016「資本論用語事典2021」は、こちら・・・・

 第1部 『資本論』の科学言語/基本キーワードとしての用語解説(作業予定)

      ◆論理性
 (1)・Element 元素/構成要素 ・Form 形式/形態 ・Elementarform
      ◆実体形成と現われ
 (2)・労働  ・価値実体 Wertsubstanz ・価値表現Wertausdruck
 (3)・比例 Verhältnis ・方程式 Gleichung ・価値方程式 Wertgleichung 
      ◆現象/本質
 (3)・膠状物/凝結物Gallert
 
 (4)・素材/成分 Material ・材料/質料Stoff ・形相/形式 Form
 (5)・価値実体 Wertsubstanz ・物 Ding ・事柄 Sache ・萌芽/胚 Keim
    ・現象/仮象 ・事柄/事物 ・直接性/媒介性 
    ・現象/本質 ・同一性/相等性 
    ・抽象/度外視 ・整約/約元
    ・実体 ・等価/当量 ・単純/個別 ・変態/生態
    ・化身/受肉・啓示 ・物神的性格/物神性
    ・アリストテレス ・キリスト ・ユークリッド
    ・デカルト  ・ヘーゲル ・ダーウィン
    ・ロバチェフスキー ・メンデレーエフ