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資本論用語事典2021
『資本論』の方程式

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  『資本論』の方程式
  
   価値方程式
  ー 「価値等式は誤り

  目次
  1. 序文 『資本論』の方程式
  2. 諸商品の価値関係-価値比例の序列化と方程式
  3. 諸商品の価値表現-価値方程式の形成
  4. 『資本論』第1章第3節 価値形態または交換価値
  5. 貨幣形態の成立とヘーゲル論理学
  6. あとがき


 『資本論』の方程式  


■参考資料■      
『資本論』とヘーゲル哲学入門1-3
哲学ノート』と『資本論』のヘーゲル哲学


  1. 序文 『資本論』の方程式

 資本論ワールド編集部では2016年創刊号いらい、①『資本論』の誤訳と②『資本論』のヘーゲル論理学に取り組んできましたが、この5年間の歩みを振り返ってみますと、「誤訳」問題がヘーゲル論理学と密接に-『資本論』の随所で絡み合っている事実が発見できました。
 『資本論』の「方程式 Gleichung」を「等式」などと翻訳して、意訳・誤訳した日本の現状はずっと根深い “病根” に根ざしていたのです。現代社会に潜む粗雑な翻訳文化をこれまでも大変厳しく批判されてきた諸先輩方-今回は別宮貞徳、柳父 章、垂水雄二-の文脈・水脈の指摘事項が、実に『資本論』翻訳本にも該当してしまうのです。

  2. 諸商品の価値関係-価値比例の序列化と方程式

1)『資本論』第1章の冒頭文章は、次のように開始されます。
 「 (1)資本主義的生産様式〔 kapitalistische Produktionsweise:資本制生産の方法〕の支配的である社会の富は、(2)「 巨大なる商品集積〔”ungeheure Warensammlung":そら恐ろしい商品の集まり・集合 〕」として現われ、(3)個々のeinzelne 商品はこの富の 成素形態 〔Elementarform:構成要素の形式、元素の形式〕 として (4)現われる erscheint。(5)したがって、われわれの研究は商品の分析をもって始まる。」
 冒頭文章を(1)から(5)に区切って、観察してみます。
 (1)「社会の富」は、ーアダム・スミス『諸国民の富』の継続・発展
 (2)「巨大なる商品集積 ungeheure Warensammlung」の「巨大なungeheure」は、
  ー第1節後段「妖怪のような」と第13章機械的怪物 ein mechanisches Ungeheuerへと継承
 (3)成素形態 〔Elementarform:構成要素の形式、元素の形式〕
  ー古代ギリシャ科学のはじまり「ストイケイオン stoicheion-Element」から万物の「元素 Element」と「形 Form」の科学探究
 (4)現われる erscheint ーヘーゲル哲学「本質-現象する」本質の解明
 (5)商品の分析 Analyse der Wareをもって始まる ーヘーゲル「分析-総合」で、分析は「資本物神性」「資本制生産様式」の「総合」的解明に展開される

 マルクスはこのような論理展開を見通しながら、推論が開始されてゆきます。
2)諸商品の価値関係 -価値比例の序列化と方程式
 『資本論』の商品価値分析の始まりは、』



  レーニン『哲学ノート』と『資本論』のヘーゲル哲学

  ・・・『資本論』本文箇所は、①~⑤で表わし、「→. ∴」は、報告者(編集部)の説明文・・・
①  一定の商品、1クォーターの小麦は、例えば、x量靴墨、またはy量絹、またはz量金等々と、簡単にいえば他の商品と、きわめて雑多な割合で交換される。このようにして、小麦は、唯一の交換価値のかわりに多様な交換価値をもっている。
   → 1クォーター小麦=x量靴墨、=y量絹、=z量金。
    ∴ 小麦は多様な交換価値をもつ。
②  しかしながら、x量靴墨、同じくy量絹、z量金等々は、1クォーター小麦の交換価値であるのであるから、x量靴墨、y量絹、z量金等々は、相互に置き換えることのできる交換価値、あるいは相互に等しい大いさの交換価値であるに相違ない。
     → x 量靴墨 = y 量絹 = z 量金
     ∴ 靴墨、絹、金は相互に等しいある「大きさの交換価値」を表示している。
③  したがって、第一に、同一商品の妥当なる交換価値は、一つの同一物を言い表している。
   ∴ これらの交換価値は、一つの同一物、つまり〔ある“未知数”概念〕を表している。
④  だが、第二に、交換価値はそもそもただそれと区別さるべき内在物の表現方式、すなわち、その「現象形態」でありうるにすぎない。
 → 交換価値は、互いに異なる商品種が交換される時に、現象してくる。
  ∴ 交換価値は、A商品=B商品の左右の項(A,B商品種)とは違う    形式・形態としてしか現象しない。→ 貨幣形態・価格へ
⑤  さらにわれわれは二つの商品、例えば小麦と鉄をとろう。その交換価値がどうであれ、この関係はつねに一つの方程式〔Gleichung〕に表わすことができる。 そこでは与えられた小麦量は、なんらかの量の鉄に等置される。例えば、1クォーター小麦=aツェントネル鉄というふうに。
   → 「例えば小麦と鉄」という場合、①のx量靴墨、またはy量絹、またはz量金等々に表示されている諸商品種の中から代表して取り出されているのである。
  ∴  「例えば、1クォーター小麦=aツェントネル鉄」、
     「例えば、1クォーター小麦=x量靴墨」    
     「例えば、y量絹、=z量金」 の具合に表示されることになる。
   この「例えば、」は、結局「連立方程式」を表示しているのである。
  この「連立方程式」は何を物語るか?
     ●<コラム.3>商品の価値表現と価値方程式の抄録 参照
 〔ドイツ語では方程式:Gleichung、等式:Gleichheit、英語では両方とも:equation〕
 → 岩波・向坂訳、河出書房新社・長谷部訳以外は、この方程式:Gleichungを
   「等式Gleichheit」と読み換えて、わざわざ日本語に翻訳し、変更している。
 このようにして、「改訳 (改悪) 」し『資本論』の「論理学」を破壊しているのである。
→ 「個別的なものは、一般的なものへ通じる連関のうちにのみ存在する。」(ヘーゲル)
 ∴ 個別的な1クォーター小麦と a ツェントネル鉄が「=」で連結されるのは、一般的なものへ通じる連関(この表示機能を方程式という)にたいしてである。     
 ∴ 「等式」が意味表示している事柄は、異種同士の「もの・概念」をつなぎ合わせ「連結」させる機能自体を表示する場合に使用する。
 したがって、③の「一つの同一物〔数学上では、方程式の解法としての “未知数概念” を意味している〕を言い表している」機能を表示する場合には、「方程式」を使用し、「等式」は使用しない。