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  3. 『『資本論』7~9 小麦の交換関係(si001-02)

翻訳問題の『資本論』第2版
第1節 7-9(si001-02)

段落 7~9 小麦の交換関係

資本論 第2版
si001-01 段落01~6 はこちら 背理と形容矛盾
si001-02 段落07~09 はこちら 小麦の交換関係
si001-03 段落10~14はこちら 翻訳ー抽象と”無視”
si001-04 段落15~end はこちら 価値の規定ー
 
 si001-02 段落07~09はこちら 「小麦の交換関係」 (2020.10.20)
   
 
  1. si001-01
         社会の富と商品のElementarform (成素形態-構成要素の形式)
           歴史的な"Element"の元素概念→こちら
            ”成素”はヘーゲル用語→こちら

  2. si001-01
         商品はその属性-特性で欲望を充足させる
            ニコラス・バーボン原注は、対話の進行役:(3)(7)(8)
            バーボンとロックの論争→こちら
           
  3. si001-01
         有用な物Ding 質 Qualität(性質)と 量 Quantität ―社会的な尺度
            『資本論』の伏兵ーヘーゲル論理学の質・量(1)→こちら

  4. si001-01
          使用価値は交換価値の素材的な担い手 stofflichen Träger
            素材(物質)変換と形式(形態)変換の原点を担う

  5. si001-01
         contrdictio in adjecto 背理ー形容矛盾
            背理-背理法・帰謬(きびゅう)法-問答法・誤謬論

  6. si001-01
         諸商品の妥当な交換価値は”同一物”を示しーあるものの「現象形態」
  7.  

      7. 交換関係の方程式 Gleichung  1クォーター小麦=aツェントネル鉄

     さらにわれわれは二つの商品、*13例えば z.B.小麦と鉄をとろう*。その交換関係がどうであれ、 この関係はつねに*一つの方程式に表わすことができる。そこでは与えられた小麦量は、なん らかの量の鉄に等置される。*例えば z.B.、1クォーター小麦=aツェントネル鉄というふうに。

     こ の方程式は何を物語るか?
    二つのことなった物に、すなわち、1クォーター小麦にも、同様にaツェントネル鉄にも、同一大いさのある共通なもの〔未知数〕があるということである。したがって、両つのものは一つの第三のものに等しい。この第三のものは、また、それ自身としては、前の二つのもののいずれでもない。両者のおのおのは、交換価値である限り、こうして、この第三のものに整約〔還元〕しうるのでなければならない。

     *〔背理の内容を展開ー交換関係はつねに”未知数”を含む一つの方程式に表わせるー〕


    ■ 中山元 訳 __________

           *交換価値の等式
     1-7
     さらに別の二つの商品として、小麦と鉄を考えてみよう。この二つの商品の
    交換比率 〔Austauschverhältnis:交換関係〕 がどのようなものであるにせよ、特定の量の小麦が特定の量の鉄と等しい関係にあることを示す 等式 〔方程式〕 で表現することができる es ist stets darstellbar in einer Gleichung,。 たとえば 1クォーターの小麦= a キログラムの鉄 1 Quarter Weizen = a Ztr. Eisen. という等式 〔Gleichung:方程式 で示されるのである。

      この等式
    〔方程式〕 は何を語っているのだろうか。
    1クォーターの小麦と a キログラムの鉄という二つの異なる物のうちに、
    同じ大きさのもの 〔Gemeinsames:共通のものー中山訳は“同じ大きさ”の語句に意訳している〕 が共通して存在しているということである。この小麦と鉄という二つの物が、小麦でも鉄でもない第三のものに等しく、この第三のものはそれ自身としては小麦でも鉄でもないということを示しているのである。だからどちらの商品も、交換価値としては、この第三のものに還元できるのでなければならない。

      〔
    すなわち、1-5の「形容矛盾」かどうかについては「商品には内的で固有の交換価値があるという表現は、「同じ大きさのものが共通して存在しているので」「形容矛盾に該当しない」ことになります。


    編集部注 _____

    第7段落:
     向坂訳:「二つの商品、*13例えば 小麦と鉄」の「交換関係」を「”未知数”を含むーすなわち”未知数=ある共通なもの”と理解してー 一つの方程式に表わす」ことで、続く次の分析から「第三のものに整約〔還元〕し」てゆきます。すなわち商品の交換関係を「方程式」によって「表示する」方法です。
     一方、
     中山訳:二つの商品の交換比率」が「特定の量の小麦が特定の量の鉄と等しい関係」にあることを示すことで、「等式」を形成する根拠としています。
     すなわち「同じ大きさのものが共通して存在している」ので、「等式」と解釈しています。


  8.   8. 三角形の面積計算ー交換価値の共通なものに還元ー
         この例題引用の重要性 → こちら
         カント-ヘーゲル-非ユークリッド幾何の空間・幾何問題
          共通なものに”還元”法から第3節価値形態の”価値表現”へ

     一つの簡単な幾何学上の例がこのことを明らかにする。一切の直線形の面積を決定し、それを比較するためには、人はこれらを三角形に解いていく 。三角形自身は、その目に見える形と全くちがった表現-その底辺と高さとの積の2分の1― に整約される。これと同様に、商品の交換価値も、共通なあるものに整約されなければならない。それによって、*14含まれるこの共通なあるものの大小が示される


      編集部注 _____

     「一切の直線形の面積・・・を三角形に解いていく 。三角形自身は、その目に見える形と全くちがった表現-その底辺と高さとの積の2分の1― に整約(還元)」とは、
     ①-1 上記1-6の 「同一大いさのある共通なものがある」ことを受けて、
    *直訳的には:「第二に、だが:交換価値はそもそもただ区別・識別できる中身・内在物の表現方式「Ausdruck(化学・数学の)式」の「weise(方法・やり方)」、その” 現象形式 ” にちがいない」ことを言い直しています。

     ①-2 「直線形・三角形の求積方法の表現形式-その底辺と高さとの積の2分の1―は、ユークリッド幾何学によるもの。球面幾何学など非ユークリッド幾何学では該当しません。」2020資本論入門11月号カント哲学から非ユークリッド幾何学へー参照してください。(11.11現在作業中です))


     ■ 中山元 訳 __________

    1-8
      これは簡単な幾何学の実例で考えると分かりやすい。[六角形や七角形など]多数の直線で囲まれている図形を考えてみよう。この図形の面積を計算し、比較したければ、これを三角形に分解するとよい。そして三角形の面積は、目に見える図形とはまったく異なる表現に還元され、底辺の長さに高さを乗じて、それを2分の1にするという方法で計算できる。これと同じように複数の商品の交換価値は、ある〈共通なものGemeinsam〉に還元される。この
    〈共通なものGemeinsam〉を多く含んでいるか、少なく含んでいるか〔その比率によって〕で、その交換価値が決まるのである。

     〔ここでは、中山訳は、ー多く含んでいるか、少なく含んでいるかで、その交換価値〔の量形式〕が決まるー「等式」が成立する根拠を改めて確認しています。〕

  9. 続き 10~14は si001-03  のページへ