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黒田日銀・アベノミクスの国債インフレ猛威

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さあ始めよう『資本論』への道


現代と世界の21世紀 



 
黒田日銀・アベノミクスの国債インフレ猛威
    
ー平和憲法レポート2023.5月号ー

  2023.05.01
  資本論ワールド 編集長 荒関 孝志


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1 黒田日銀総裁
2 2年でデフレ脱却
3 円安
4 巨額な「国債買い入れ
5 超インフレ時代
6 アベノミクス
7 アジア太平洋戦争
8 国債無制限発行
9 臨時軍事費特別会計
10 銀行預金の封鎖
11 新円切り替え
12 財政ファイナンス
13 財政と金融の一体化
14 国債ー借換債
15 新しい資本主義
16 憲法9条の死
17 日本銀行ー物価の番人
関連データ
gr003-02 防衛産業「国有化」(1)2023.05.10






黒田日銀総裁の10年

 
 2013年、安倍元総理の要請を受けて発足した黒田日銀ですが、当初の「2年でデフレ脱却」目標は達成できず、巨額な「国債買い入れ」を行ってきました。この間円安対策を放置したままで、エネルギー、原材料、輸入食料品の高騰により昨年から消費者物価が急上昇しています。
 5月から6月には電気料金など一斉値上げが予定され、物価狂乱を思わせる超インフレ時代に突入する気配です。4月から黒田総裁から植田新体制に移行しましたが、異次元緩和の「2%物価目標のデフレ脱却」に変化はなく、アベノミクス黒田経済政策の継続が決まっています。


戦前の軍事経済を支えた国債無制限発行


 昨今出版業界では、黒田日銀の金融政策に対する批判が一斉に噴出しています。テレビやマスコミではとりあげられませんが、アベノミクスと歩調を合わせた国債大量購入に伴う財政規律の破綻です。
 戦前15年に及ぶアジア太平洋戦争を財政面で支えてきた財源のほとんどが「臨時軍事費特別会計」による公債発行で、政府は無制限に発行が可能となりました。昭和12年度から20年度の一般会計歳出決算額867億円に対して、臨時軍事費の支出総額は、1,554億円((この他追加予算700億円)が計上され、この9年間までを一会計年度として途中の決算報告がありません。
 また、敗戦後の公債処理では、財政崩壊の厳しさを経験しました。銀行預金の封鎖と一夜にして新紙幣の発行-「預金封鎖」「新円切り替え」による激しいインフレ・貨幣価値の暴落により政府は国民への債務補償を帳消しにしました。
 戦前の教訓から、日銀は政府からの国債直接購入は禁止ですが、都市銀行経由で、対応しています。2022年度末に国債残高は1,029兆円が見込まれ、そのうち日銀が保有する国債残高は56%の581兆7000億円と過去最高となります。
2022年の国民総生産GDPは546.7兆円ですが、それを大幅に上回る金額を日銀が保有する事態となっています。欧米のGDP比20~30%に比べ、まさに、“放漫財政を助長する、政権に都合のよい道具”となっています。


アベノミクスの国債インフレ猛威と財政ファイナンス


 安倍元首相は、「憲法改正」を政治信条としてその実現に向け、数々の方策を行ってきました。その中心軸に財政と金融の一体化があります。政府が自由に財源を駆使できるように、日銀を「政府の子会社化」して通貨の大量増刷と「国債の無制限発行」を目指しています。戦前回帰の「財政ファイナンス ――政府の発行した国債を“例年約150兆円の借換債”の形式で中央銀行が直接引受ける方式」によって、軍需産業の育成と軍事費の増額を目的に、その志を受け継いだ岸田首相の「新しい資本主義」が今年度予算で始まったのです。新規国債は35兆円、うち赤字国債は29兆円、歳入に占める借金の割合は31%という“新しい戦前”の「大日本帝国会社」の財務内容です。


憲法9条の死と今年度予算―— トマホークがやってくる


 軍事費GDP比2%以上の予算と集団的自衛権が明記されました。なかでも建設国債の増加で戦後初めて自衛隊の艦船や米国の巡航ミサイル「トマホーク」2,000億円など4,000億円を超える金額が計上されました。
 専守防衛の我が国の防衛戦略が有名無実と化して、自衛隊の武力行使が相手国の領域内の軍事目標に対する攻撃も可能とする解釈です。歯止めなき軍備拡張への道が開け、“憲法9条の死”と阪田雅裕元内閣法制局長官が批判するに至っています。護憲勢力は、もはや四面楚歌でしょうか?
 日本政府は、本来「物価の番人」である日本銀行を子会社化することで、中央銀行たる使命における重大な欠陥と業務遂行能力の限界を白日のもとにさらけ出しています。「円安」に有効な手立てがなく、日銀は、国債の重圧で「倒産の危機」がささやかれはじめているのです。


さあ始めよう 『資本論』への道


 今から150年ほど前、日本の明治維新の直前に資本主義の矛盾の発現と経済法則を明白にした書物が『資本論』でした。「古びた時代遅れの古典」と呼ばれながらも、何故か蘇っては青年層の心をとらえ続けています。私たちのホームページ「資本論ワールド」は、小さき旗揚げからちょうど8年目です。
 資本主義の制度疲労が誰の目にも赤裸々になり、日常化しています。根本的な調査研究の時代を迎えたようです。
 このレポートは、今年2月に平和憲法レポート編集部から依頼があり、資料の調査から開始しました。黒田日銀とアベノミクスの無責任極まりない施策への驚きから始まりました。
 字数の制約から論点の不十分さは否めません。

 HP「資本論ワールド」で、参考文献と論点を補強しています。併せて参照頂ければ幸いです。なお「資本論ワールド」で検索ができます。
 メールはara3307ara@outlook.jp。あなたからのご批判、ご叱正をお待ちしています。
2023年5月1日