現代資本主義 日本と世界の21世紀
・金本位制
現代資本主義1ー国家独占資本主義
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国家独占資本主義2023.06.12
monopolistic capitalism 英語
日本大百科全書(ニッポニカ)
「国家独占資本主義」の意味・わかりやすい解説
国家独占資本主義
state monopolistic capitalism 英語
staatsmonopolistischer Kapitalismus ドイツ語
capitalisme monopoleur d'État フランス語
資本と生産を高度に集中した少数の独占資本が支配するに至っている資本主義の独占資本主義の段階においては、戦争や長期不況などの経済体制の「危機」を管理するために、全面的に国家の制度的・政策的な介入が行われるようになった。このようにして成立した国家と資本主義体制との「融合」体制を国家独占資本主義という。国家独占資本主義ということばは、第一次世界大戦下の資本主義体制の発展傾向を示すものとして、ロシアの革命家レーニンによって、「戦時国家独占資本主義」体制という意味で用いられた。さらにソビエト社会主義体制の出現、1930年代の長期不況などにより、資本主義体制の解体と動揺が進む一方で、いわゆるケインズ的経済政策など資本主義経済への政策的介入や補整が広く制度化されていくに伴って、国家独占資本主義体制が先進資本主義経済の一般的な特徴となっていったのである。つまり国家独占資本主義とは、私的市場経済を基本制度とする資本主義が、その独占的発展段階において、資本主義的市場体制の(戦争や不況という)危機的状況を克服するために、国家の政策的介入と補整を全面的に求めた結果として登場する公私混合的な二重経済体制の、マルクス経済学からする命名なのである。
ここから国家独占資本主義とは、資本主義の全般的危機の時代に、独占資本の支配体制を維持・存続するために採用される国家の権力と経済力の利用形態とみなされ、その究極的な本質は、国家財政や金融政策などの国家の政策機能や制度による独占利潤の確保にある、とされる。そしてまた国家独占資本主義は、すでに「死滅しつつある資本主義」としての独占資本主義の政策的延命策である限り、その体制のもとでは国民大衆に対する支配と収奪が強まり、軍事経済化と経済活動の停滞化と腐朽化が進むと批判される。
資本主義体制のもとで国家による経済への政策的介入や規制などの制度化が広く進展したのは、第二次世界大戦以降である。しかし、以上のようなマルクス経済学の大方の予想に反して、戦後の資本主義経済は持続的に成長したという現実を背景に、今日、国家独占資本主義概念は再検討を迫られている。まずこのような国家独占資本主義説では、戦後の日本などの非軍事的経済発展の事例を説明できないし、戦後の経済成長によってもたらされた物質的豊かさも正当に説明できない。
より根本的には、レーニン流の「独占資本主義(=帝国主義)論」だけでは、現代の資本主義の産業構造や企業組織の多面的な発展形態を十分に解明できないように思われるし、また現代の政策や介入の諸制度のもつ役割を「独占資本の利潤実現の手段」と一面的に規定しえないという問題もある。国家の経済機能が私的独占資本のために役だっていることは否定しないとしても、他面では福祉的改良や経済安定の制度として機能している側面もあることは無視できないであろう。
[吉家清次]
『『さしせまる破局、それとどうたたかうか?』(レーニン全集刊行委員会訳『レーニン全集第25巻〈1917〉』所収・1957・大月書店)』▽『大内力著『国家独占資本主義』(1970・東京大学出版会)』▽『正村公宏著『現代の資本主義』(1977・現代の理論社)』▽『大内秀明・柴垣和夫編『現代の国家と経済』(1979・有斐閣)』
[参照項目] | 現代資本主義 | 国家資本主義 | 独占資本主義
出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
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国家が経済に介入する度合いが高まった第1次世界大戦後の資本主義に関するマルクス経済学の用語。国家独占資本主義は,独占資本が独占利潤の追求とその存立の基盤である資本主義体制の維持を目的に,国家権力を従属させ経済社会に支配力を確立している資本主義で,資本主義の最高の発展段階である独占資本主義の高度な形態であるといわれている。資本主義はその発展の過程で資本の集積と集中を進め,19世紀後半からは独占資本が優位を占める独占資本主義の段階に入ったが,さらに第1次世界大戦以降資本主義体制が動揺しはじめたのを契機に,独占資本主義は国家独占資本主義への転化の過程に入り,1929年に始る世界大恐慌がこの転化を決定的にしたとされている。
出典 ブリタニカ国際大百科事典
精選版 日本国語大辞典
「国家独占資本主義」の意味・読み・例文・類語
〘名〙 独占資本主義の新しい形態で、少数の独占資本が国家機関を従属させて最大限利潤獲得の道具とし、資本主義体制を維持する機構。マルクス経済学によれば、第一次世界大戦後の世界恐慌を契機として、主要資本主義国はこの段階に移行したとされる。
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デジタル大辞泉
「国家独占資本主義」の意味・読み・例文・類語
こっか‐どくせんしほんしゅぎ〔コクカ‐〕【国家独占資本主義】
独占資本がその支配体制の存続・強化を図るために、国家機関を最大限に利用する体制。独占資本主義の最新の発展段階をいう。
◆国家が経済に介入する度合いが高まった第1次世界大戦後の資本主義に関するマルクス経済学の用語。国家独占資本主義は,独占資本が独占利潤の追求とその存立の基盤である資本主義体制の維持を目的に,国家権力を従属させ経済社会に支配力を確立している資本主義で,資本主義の最高の発展段階である独占資本主義の高度な形態であるといわれている。資本主義はその発展の過程で資本の集積と集中を進め,19世紀後半からは独占資本が優位を占める独占資本主義の段階に入ったが,さらに第1次世界大戦以降資本主義体制が動揺しはじめたのを契機に,独占資本主義は国家独占資本主義への転化の過程に入り,1929年に始る世界大恐慌がこの転化を決定的にしたとされている。
出典 ブリタニカ国際大百科事典
◆精選版 日本国語大辞典
「国家独占資本主義」の意味・読み・例文・類語
こっか‐どくせんしほんしゅぎ コクカ‥【国家独占資本主義】
〘名〙 独占資本主義の新しい形態で、少数の独占資本が国家機関を従属させて最大限利潤獲得の道具とし、資本主義体制を維持する機構。マルクス経済学によれば、第一次世界大戦後の世界恐慌を契機として、主要資本主義国はこの段階に移行したとされる。
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◆デジタル大辞泉
「国家独占資本主義」の意味・読み・例文・類語
独占資本がその支配体制の存続・強化を図るために、国家機関を最大限に利用する体制。独占資本主義の最新の発展段階をいう。
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→金本位制
→三上隆三「金本位制の成立」(江戸時代)
→管理通貨制度2023.06.12
→国債本位制
→日本の財政問題
→インフレーション
→財政ファイナンス
→信用創造
→個人金融資産2000兆円の内訳
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金本位制
金本位制 2022.04.17
→旺文社日本史事典 三訂版「金本位制」の解説
→本位貨幣 コトバンク ブリタニカ
金本位制
きんほんいせい
金を貨幣価値の基準とし,他の貨幣と金との自由な交換(兌換 (だかん) )や,金の自由な輸出入を認める制度
日本では1871(明治4)年の新貨条例で採用したが,貿易決済には銀を用い,国内でも実質的には銀本位制に変わった。のち世界的に金本位制が広まり,日本も日清戦争の賠償金を準備金として,'97年の貨幣法で名実ともに採用した。1917年,第一次世界大戦のため金輸出を禁止,'30年に解禁したが世界恐慌の打撃をうけ,'31年末,犬養毅内閣が再禁止し,金本位制は事実上停止された。
出典 旺文社日本史事典 三訂版
■金本位制
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金本位制(きんほんいせい、英語: gold standard)とは、一国の貨幣価値(交換価値)を金に裏付けられた形で金額を表すものであり、商品の価格も金の価値を標準として表示される。この場合、その国の通貨は一定量の金の重さで表すことができ、これを法定金平価という[注釈 1] 。19世期後半の大不況期に採用が進み、20世紀には国際決済銀行とブレトン・ウッズ体制の礎となった。しかし、1971年の米ドルの金兌換停止以降、先進国のほとんどは管理通貨制度に移行した。
概要
狭義では、その国の貨幣制度の根幹を成す基準を金と定め、その基礎となる貨幣、すなわち本位貨幣を金貨とし、これに自由鋳造[注釈 2]、自由融解を認め、無制限通用力を与えた制度である。これは特に金貨本位制という。つまり、金そのものを貨幣として実際に流通させる事である。実際には、流通に足りる金貨が常備できない、高額になりがちな金貨は持ち運びが不便、使用により磨耗するなどの理由により、金貨を流通させられない場合が多い。そこで、中央銀行が金地金との交換を保証された兌換紙幣(だかんしへい)および、本位金貨に対する補助貨幣を流通させる事により、貨幣価値を金に裏付けさせる事が行われた。これを金地金本位制(きんじがねほんいせい)という。一般には、金貨本位制と金地金本位制を含めて金本位制という。
ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典「本位貨幣」の解説
本位貨幣
ほんいかへいstandard money
一国の貨幣制度の基本となる貨幣。金本位制国の金貨や銀本位制国の銀貨がその代表的な例。商品の価値尺度および価格の度量基準としての機能をもち,その価値はそれと純分および量目を等しくする貨幣素材の価値に等しい。この本位貨幣は正貨と呼ばれる。金本位制度のなかでも金貨と金地金との自由な交換が行われ,金貨が最も典型的な本位貨幣であるが,金貨が現実には流通しない金地金本位制度や金為替本位制度においても,金が価値尺度および価格基準の機能を果している以上,金貨が本位貨幣であることに変りはない。これら金貨,金地金,金為替は銀行券の兌換の基礎となり,正貨準備と呼ばれる。
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
科事典マイペディア「本位貨幣」の解説
本位貨幣【ほんいかへい】
一国における価値尺度および価格の度量標準として法律により認められた貨幣(法貨)で,無制限の強制通用力をもつ。補助貨幣に対する。本位貨幣の価値は本来一定量の金属(金または銀)と関係づけられており,日本でも金貨が発行されていたが,1931年の金本位制停止により発行を止めた。→本位制度
典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて
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本位貨幣
日本大百科全書(ニッポニカ)
「本位貨幣」の意味・わかりやすい解説
本位貨幣
ほんいかへい
standard money 英語
Währungsgeld ドイツ語
法定された金(銀)純分を含有する鋳貨のこと。おもに近代的な貨幣制度である金本位制のものをさすが、それ以前であっても、価値尺度機能を果たす金属の鋳貨をさしてこのようにいう。特定の金属がすでに価値尺度となっている現実を基礎に、国家は本位standardを制定する。すなわち、特定金属の一定重量をもって価格の単位とし、これに貨幣単位名称を与えるのである。たとえば、日本の貨幣法(1897年制定)では、純金の重量750ミリグラムを価格の単位とし、これを円とよぶよう定めていたので、これに基づいて鋳造される10円金貨は、純金7.5グラムを含有していることになる。このような鋳貨を本位貨幣といい、補助貨幣と区別している。本位貨幣は、その金額に制限なく通用する無制限法貨であり、その品位(他金属との合金の割合)と量目(重量)は法定される。さらに、流通する本位貨幣の金量を維持するために「通用最軽量目」を定め、摩損によってこれを下回るものは引き換えられる。このような本位貨幣の鋳造・発行は、その「自由鋳造」「自由鎔解(ようかい)」(金地金(じがね)の金貨鋳造が求められれば政府はこれに応じること、およびその逆)による金の市場価格と鋳造価格(純金750ミリグラム=1円)との乖離(かいり)防止を通じて、また、金の自由輸出入、中央銀行券の金貨兌換(だかん)によって、価格標準を固定し、為替(かわせ)相場を安定させることとなった。
[齊藤 正]
[参照項目] | 貨幣 | 貨幣法 | 新貨幣法 | 補助貨幣 | 本位制度
出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
◆ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
「本位貨幣」の意味・わかりやすい解説
本位貨幣ほんいかへい standard money
一国の貨幣制度の基本となる貨幣。金本位制国の金貨や銀本位制国の銀貨がその代表的な例。商品の価値尺度および価格の度量基準としての機能をもち,その価値はそれと純分および量目を等しくする貨幣素材の価値に等しい。この本位貨幣は正貨と呼ばれる。金本位制度のなかでも金貨と金地金との自由な交換が行われ,金貨が最も典型的な本位貨幣であるが,金貨が現実には流通しない金地金本位制度や金為替本位制度においても,金が価値尺度および価格基準の機能を果している以上,金貨が本位貨幣であることに変りはない。これら金貨,金地金,金為替は銀行券の兌換の基礎となり,正貨準備と呼ばれる。
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
◆百科事典マイペディア
「本位貨幣」の意味・わかりやすい解説
一国における価値尺度および価格の度量標準として法律により認められた貨幣(法貨)で,無制限の強制通用力をもつ。補助貨幣に対する。本位貨幣の価値は本来一定量の金属(金または銀)と関係づけられており,日本でも金貨が発行されていたが,1931年の金本位制停止により発行を止めた。→本位制度
→関連項目金銀複本位制度|金属本位制度|金本位制度|銀本位制度|新貨条例|正貨|通貨|平価切下げ|法定平価
出典 株式会社平凡社
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管理通貨制度2023.06.12 管理通貨制度
(005-2) 管理通貨制度 managed currency system
国内通貨の流通量を,正貨(金)準備の増減によって,機械的に増大させたり減少させるのではなく,通貨当局が政策目標に応じて国内の通貨流通量を管理調節しようという制度。1920年代前半にケインズ(J.M.Keynes)によって構想されたが,具体化したのは一般的に1930年代である。今日ではほとんどの国がこれを採用している。
==日本の管理通貨制度==日本銀行のホームページ
管理通貨制度とは,中央銀行が通貨の供給(流通貨幣量)を政策的に管理する制度である。この制度の政策目標は,物価の安定,通貨の購買力の調節と信用と雇用の安定にあり,またその実現の責務を中央銀行は負っている。日本では,1882年の日本銀行設立後,戦時立法である1942年の日本銀行法によって管理通貨制に移行する。日本銀行は特殊法人(資本金1億円で政府55%,民間45%所有)であるが,「通貨の調節,金融の調整及び信用制度の保持育成」を目的とする中央銀行である。この中央銀行は一般的には次のような3つの機能をもつ。
第1は発券銀行であり,発行権を独占しているが,発券限度は政府決定による。第2は銀行の銀行であり,民間銀行との間で当座預金による取引・貸付け・債券売買・為替取引を行う。第3には政府の銀行であり,政府との間で預金・貸付け・国庫事務・外国為替事務などを行う。金融政策としては,公定歩合操作(手形再割引率),公開市場操作(手形や債権の売買で買オペレーションと売オペレーションで操作),預金準備率操作(支払準備率の変化で信用創造を調整。銀行の規模と種類,預金の種類に応じて1.2%~0.05%の幅)を行っている。
(増田・沢田編著『現代と現代経済学(第2版)』有斐閣,有斐閣ブックス,2007年,38頁)
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◆国債本位制2023.06.12
ーウィキペディア
国債本位制(こくさいほんいせい)とは、その国の中央銀行が発行する貨幣が、その国の政府が発行し中央銀行が保有している国債に裏付けられているという貨幣制度である[1]。
国債本位制を成り立たせる条件
その国の中央銀行が発行する貨幣(当座預金、中央銀行券)によって、その国の政府が発行する国債(元本保証と金利保証がある)を購入できるし、その国債をその国の中央銀行が発行する貨幣(当座預金、中央銀行券)に交換することもできるし、その貨幣によって物やサービスをその国において十分に購入できるために必要な、生産と流通と決済の仕組みが維持されている事である。
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