現代資本主義 日本と世界の21世紀
国債本位制ー日本の財政危機 2023.08.20
財政ファイナンス
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◆国債本位制2023.06.12
ーウィキペディア
国債本位制(こくさいほんいせい)とは、その国の中央銀行が発行する貨幣が、その国の政府が発行し中央銀行が保有している国債に裏付けられているという貨幣制度である[1]。
国債本位制を成り立たせる条件
その国の中央銀行が発行する貨幣(当座預金、中央銀行券)によって、その国の政府が発行する国債(元本保証と金利保証がある)を購入できるし、その国債をその国の中央銀行が発行する貨幣(当座預金、中央銀行券)に交換することもできるし、その貨幣によって物やサービスをその国において十分に購入できるために必要な、生産と流通と決済の仕組みが維持されている事である。
■【三橋貴明】続 国家のお金の発行と国債発行の仕組み
https://38news.jp/economy/08074
昨日、解説した通り、政府と銀行、企業の間では、
(1) 銀行が国債を購入すると、銀行保有の日銀当座預金は、
政府の日銀当座預金勘定に振り替えられる
(2) 政府は財政出動の際に、請負企業に政府小切手で代金を支払う
(3) 企業は政府小切手を銀行に持ち込み、「政府からの取り立て」を要求する
(4) 政府小切手を受け取った銀行は、相当する金額を企業の
預金口座に記帳すると同時に、代金の取り立てを日銀に依頼
(5) 日銀は、「政府保有の日銀当座預金」の該当額を、
「銀行保有の日銀当座預金」に振り替える
(6) 銀行は、戻ってきた日銀当座預金で、再び国債を購入することができる
というプロセスで、国債発行、財政支出が行われます。
国債発行において、政府と銀行間の貸し借りに使われるのが日銀当座預金というわけでございます。
◆◆財政ファイナンス
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財政ファイナンス2023.09.01
→日本の財政危機
→アメリカ財政赤字 ↓
日本大百科全書(ニッポニカ) 「財政ファイナンス」の意味・わかりやすい解説
財政ファイナンス
ざいせいふぁいなんす
debt monetization
monetizing debt
財政赤字を穴埋めするため、中央銀行が政府の国債などを直接引き受けること。中央銀行が通貨を発行し、国の財政赤字を直接補填(ほてん)する行為であり、中央銀行が国家財政に資金を供給する(ファイナンスする)という意味の名称である。(国債の)マネタイゼーションともいう。
歴史的には、第一次世界大戦後のドイツや1980年代のブラジル、アルゼンチンなどで行われ、政府の財政規律を失わせると同時に、中央銀行の通貨発行に歯止めがかからなくなり、悪性インフレを引き起こす結果となった。国の通貨や経済政策への信認を大きく損なうことにつながるため、主要先進国は法制度として財政ファイナンスを禁じている。日本でも、「国債の市中消化の原則」に基づき、財政ファイナンスとみなされる日本銀行による国債の直接引受けは、財政法第5条によって、特別の事由がある場合を除き、禁止されている。ただし日本銀行の金融調整の結果として日本銀行が保有する国債などのうち、償還期限が到来した国債などは「財政法第5条但書」規定に基づき、国会の議決を経た金額の範囲内で、国による借換えに応じることができるとしている。
2013年(平成25)、日本銀行総裁の黒田東彦(くろだはるひこ)(1944― )は年2%の物価上昇目標を設定すると同時に、大量の国債を市中から買い入れて通貨を供給する量的・質的金融緩和(異次元金融緩和)政策に乗り出した。2021年(令和3)時点で、日本銀行が保有する国債は発行残高の4割を超えている。これについて、政府と日本銀行は「2%の物価上昇目標という歯止めがかかっており、財政ファイナンスではない」としているが、経済学者や野党、経済界の一部からは「財政ファイナンスであることは明らかで、けっして健全な財政政策とはいえない」との批判が出ている。
[矢野 武 2022年1月21日]
[参照項目] | 財政規律 | 財政法 | 量的・質的金融緩和
出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
◆財政ファイナンスは、「国債のマネタイゼーション」とも呼ばれ、国(政府)の発行した国債等を中央銀行が直接引き受けることをいいます。これは、中央銀行が政府に対して、マネー(資金)をファイナンス(供給)することであり、政府の厳しい財政状況において、財政赤字の拡大や穴埋めの支援策として、中央銀行が直接協力することを意味します。
■デジタル大辞泉 「マネタイゼーション」の意味・読み・例文・類語
マネタイゼーション(monetization)
1 貨幣を発行すること。
2 資源や資産など
を現金化すること。特に、中央銀行が通貨を増発して国債を引き受けることにより、政府の財政赤字を解消すること。国の財政支出拡大とマネタイゼーションを組み合わせて行うことで、景気浮揚とデフレ脱却の効果が見込めるとの意見もあるが、通貨の信認が低下し、極端なインフレを招くなどの副作用も懸念される。財政ファイナンス。
出典 小学館
◆財政ファイナンスのリスク
財政ファイナンスを行うと、その国の政府の財政節度を失わせると共に、中央銀行による通貨の増発に歯止めが掛らなくなって、悪性のインフレ(ハイパーインフレ等)を引き起こす恐れ(リスク)があります。
万が一、そうなると、その国の通貨や経済運営そのものに対する国内外からの信頼も大きく損なわれるため、現在、先進各国では、財政ファイナンスを制度的に禁止しています。
財政ファイナンスの禁止(日本の場合)
日本においては、「国債の市中消化の原則」と呼ばれるものがあり、財政ファイナンスと見なされる恐れのある、日本銀行における国債引き受けは、財政法第5条によって原則として禁止されています。
ただし、金融調節の結果として保有している国債のうち、償還期限が到来したものについては、「財政法第5条(ただし書き)」の規定に基づき、国会の議決を経た金額の範囲内に限って、国による借り換えに応じています。
<量的・質的金融緩和の認識>
2013年から実施されている量的・質的金融緩和では、日銀が大量の国債を購入・保有し、事実上の財政ファイナンスではないかと指摘されることも多いですが、日銀の見解としては、金融政策上の必要性に基づくものであるとして、財政ファイナンスを否定しています。
◆財政破綻は、
国や地方自治体の資金収支計画(資金繰り)が行き詰ることをいいます。これは、国や地方自治体が行政活動や公共政策などの遂行のために行う、資金の調達や管理、支出などの経済活動が正常にできなくなる状態(危機的状況)であり、民間企業に例えるなら「倒産」や「破綻」と言えます。
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財政破綻の発生
財政破綻は、放漫な財政運営、巨額の公的債務残高、基礎的財政収支の悪化などが長年積み重なり、ついに財政の持続可能な限界に達し、資金調達や利払いなど資金繰りが行き詰った時に発生することが多いです。
また、この場合、国や地方自治体の発行した債券は、デフォルト(債務不履行)になります。
財政悪化と財政再建(日本の場合)
21世紀以降、日本においては、財政状況が年々悪化しており、巨額の公的債務残高から「財政破綻」の可能性が一部の識者から指摘されることもあります。その一方で、歴代政権の認識は非常に甘く、景気が少しでも悪くなれば、すぐに財政出動に頼るため、財政再建を全く行えていません。
これまでに地方自治体では、北海道の夕張市が実質的な財政破綻を唯一起こしており、その際には、行政サービスは切り詰められ、住民の生活は大きく変わりました(負担増やサービス低下など厳しくなった)。
財政破綻で予測されること(日本の場合)
現在、日本の債務残高の名目国内総生産(GDP)比は、先進国で最悪の水準であり、いつまでも財政悪化を放置することはできません。もし、財政悪化が限界に達した時には「財政破綻」が起こる可能性があり、そうなった場合には以下のようなことが予測されます。
・日本円が売られて、超円安となる
・日本国債の買い手がいなくなり、金利が急騰する
・金融機関が経営危機に陥り、世界的な金融危機が発生する
・国際会議が開かれ、日本に対して財政の抜本的改善が要求される
・預金封鎖が一時的に行われる可能性がある
・大増税が行われると共に、行政サービスが大きく削減される
・社会保険料の負担が増える一方で、年金受給年齢は延期される
・企業の倒産や役所のリストラなどで失業者が急増する
・急速なインフレが起こり、人々の生活は苦しくなる
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財政収支
読み方: ざいせいしゅうし
分類: 財政関連
財政収支は、歳入と歳出の差をいいます。これは、世界各国の政府や地方公共団体などで発表される経済指標で、歳入が歳出を上回る場合を「財政黒字」、歳出が歳入を上回る場合を「財政赤字」と言います。
また、国債発行収入を除いた歳入(税収等)と、国債の利払いと償還費を除いた歳出(一般歳出)の差を「基礎的財政収支(プライマリーバランス)」と言い、これが黒字になれば、税収で一般歳出が賄われることになり、とりあえず国の財政は正常な状態であるといえます。
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→管理通貨制度2023.06.12
→国債本位制
→日本の財政問題
→インフレーション
→財政ファイナンス
→信用創造
→個人金融資産2000兆円の内訳
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管理通貨制度2023.06.12 管理通貨制度
(005-2) 管理通貨制度 managed currency system
国内通貨の流通量を,正貨(金)準備の増減によって,機械的に増大させたり減少させるのではなく,通貨当局が政策目標に応じて国内の通貨流通量を管理調節しようという制度。1920年代前半にケインズ(J.M.Keynes)によって構想されたが,具体化したのは一般的に1930年代である。今日ではほとんどの国がこれを採用している。
==日本の管理通貨制度==日本銀行のホームページ
管理通貨制度とは,中央銀行が通貨の供給(流通貨幣量)を政策的に管理する制度である。この制度の政策目標は,物価の安定,通貨の購買力の調節と信用と雇用の安定にあり,またその実現の責務を中央銀行は負っている。日本では,1882年の日本銀行設立後,戦時立法である1942年の日本銀行法によって管理通貨制に移行する。日本銀行は特殊法人(資本金1億円で政府55%,民間45%所有)であるが,「通貨の調節,金融の調整及び信用制度の保持育成」を目的とする中央銀行である。この中央銀行は一般的には次のような3つの機能をもつ。
第1は発券銀行であり,発行権を独占しているが,発券限度は政府決定による。第2は銀行の銀行であり,民間銀行との間で当座預金による取引・貸付け・債券売買・為替取引を行う。第3には政府の銀行であり,政府との間で預金・貸付け・国庫事務・外国為替事務などを行う。金融政策としては,公定歩合操作(手形再割引率),公開市場操作(手形や債権の売買で買オペレーションと売オペレーションで操作),預金準備率操作(支払準備率の変化で信用創造を調整。銀行の規模と種類,預金の種類に応じて1.2%~0.05%の幅)を行っている。
(増田・沢田編著『現代と現代経済学(第2版)』有斐閣,有斐閣ブックス,2007年,38頁)
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◆国債本位制2023.06.12
ーウィキペディア
国債本位制(こくさいほんいせい)とは、その国の中央銀行が発行する貨幣が、その国の政府が発行し中央銀行が保有している国債に裏付けられているという貨幣制度である[1]。
国債本位制を成り立たせる条件
その国の中央銀行が発行する貨幣(当座預金、中央銀行券)によって、その国の政府が発行する国債(元本保証と金利保証がある)を購入できるし、その国債をその国の中央銀行が発行する貨幣(当座預金、中央銀行券)に交換することもできるし、その貨幣によって物やサービスをその国において十分に購入できるために必要な、生産と流通と決済の仕組みが維持されている事である。
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